アールヌーヴォー様式をご存じでしょうか。19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に発展したスタイルで、植物のツタがからんだような有機的な曲線や、ガラスや金属など当時としては最先端の素材で自然の形状を再現したようなデザインが特徴です。家具から建築、グラフィックデザインまで幅広く影響を与えました。第一次世界大戦頃からの主流はより実用的なデザインに移り変わっていってしまいましたが、最近ではディズニーシーの新エリアのファンタジースプリングスに開業したホテル、ファンタジーシャトーのデザインも、アールヌーヴォーと言っていいと思います。先月、アールヌーヴォーの聖地であるフランスのナンシーに行き、今も残るアールヌーヴォーの空気を感じる旅をすることができたので写真とともに振り返っていこうと思います。
この記事は、オープンソースのロボット物理エンジンのMuJoCoで、既存のロボットモデル(例えば、MuJoCo Menagerie)を試してみた上で、今度はあなた自身のロボットをMuJoCoでシミュレーションしてみたいと思っている方向けに書きました。MuJoCoは、ロボットモデルに用にMJCFというXMLフォーマットを使用しており、URDFフォーマットもサポートしています。CADモデルから直接URDFモデルに変換する変換スクリプトもいくつか存在しますが、個人的には、MJCFモデルをゼロから自分で書くほうがずっと簡単だと思います。自分で書くので、すべてのモデルパラメータを整合性を保ったまま管理できますし、思うほど複雑でもありません。そこでこの記事では、私がこれまでに知っている中で最も簡単に、CADで作成したロボットモデルをMuJoCoでシミュレーション可能な形式に手動で変換する方法をご紹介します!最後には、MJCFモデルをIsaacGymでも使えるようにする方法も解説します。
以前の記事で、サーバー側のネットワークでポート開放をせずともSoftEtherでVPN接続を設定する方法を紹介したのですが、ドイツの新居に引っ越してから、サイトによってはこの方法で接続しても、日本にいないと判定されてしまう(つまり、VPNによるIPアドレスの「カモフラージュ」が効かない)ことがありました。
ドイツでAdoのコンサートがあることに気がついたのはちょうど1週間前だった。Adoが初めてのワールドツアーをやることは何となく知っていたのだがまさかドイツにも来るとは思っていなかったので完全にノーマークだった。さすがにチケットもう売り切れだろうな…と思っていたけど一応たまにウェブサイトを確認していると、火曜日あたりに公式サイトでリセールチケットがいくつか出ていたので、割高だったが好きなアーティストがヨーロッパに来るなんて滅多にない機会なので思い切って買ってしまった。
ともすれば日本の未来に悲観的なニュースが多い。人口減少、経済停滞、少子高齢化、技術力の衰退…。最近の暗い話題を見ればキリがないほどだ。私も前まではこのような意見に同調して日本の未来に対して悲観していて、発展途上国とは逆の概念「衰退途上国」なのではないかと冷笑していたほどだ。しかし、最近はだいぶ考えが変わってきている。自分の身の周りの、ごく薄い世界の切り口から見えている景色だけなのかもしれないが、これからどんどん明るい未来に進むことができるのではないかと思っている。
先月からドイツに引っ越したので、近場で面白いところないかなと先日「地球の歩き方」をパラパラめくっていたところ、ビビッと来た街があった。
先月ロボットの学会でテキサスのオースティンに行ったのだが、飛行機のチケットの関係で2日も早入りすることになって時間があったので、せっかくアメリカなんだしレンタカーして観光してみるかと思い立ち、前から運転してみたかったテスラ車を借りて、テキサスのデカいフリーウェイを使ってヒューストンまで行ったりと、車社会アメリカを堪能する一人旅をしてみた。
先週ジブリの新作「君たちはどう生きるか」が公開された。ポスター1枚のみ公表し、広告を全く打たないという斬新なマーケティング戦略により、初期に鑑賞する人たちは一切事前情報がない中で新作のジブリ映画を観るという贅沢な体験ができる。観客の評判なども含めて、少しでも事前知識を入れた上で映画を観るとある程度自分の受け取り方もそれに左右されてしまい、今となっては本当に白紙の状態でその映画を観ることはもうできない。なので現在日本にいない私は、日本在住者がちょっと羨ましい。
チューリッヒに着いて1年ほどが経つが、ようやく1本目の論文が出せそうで(やるべきことは他にもいくらでもあるが)一区切りが付く目途が経ってきた。論文の準備や授業の課題に追われてここ数週間忙しかったので、気分転換にどこ行こうかグーグルマップを眺めていたら、誰かにおすすめされて地点登録していたドイツのツェッペリン博物館が目に入った。20世紀初頭に世界中を飛んでいた飛行船のツェッペリン号のあらゆる展示があるらしい。こういうディープな展示に目がないオタクとしてはぜひとも行きたかった。 というわけで昨日思い切ってドイツ行きの切符を買って、今日行ってきた。
私が現在博士課程学生として所属しているSoft Robotics Labでは、人間の手を模したロボットハンド Faive Hand を開発しています。人間と同じように5本の指を持ち、それぞれの指も人間と同じくらいの可動域があるので、人間が扱える道具や行える動作をこのロボットでも実現することを目指しています。
チューリッヒに来てちょうど半年が経とうとしています。今月のチューリッヒはクリスマス一色で、街中でクリスマスマーケットやクリスマスツリーが設けられていました。ラボからの帰りも、たまに誘い合ってクリスマスマーケットで食事をしてから帰るなど、クリスマス気分を満喫できました。
私はチューリッヒ工科大学での博士課程に入るために、6月末に日本を出発しました。日本ではちょうど新型コロナ感染症の患者数がまた増えてきていたころで、街中ではほぼ全員マスクをしている状態だったのですが、成田発チューリッヒ着のスイス航空の便が成田を離れた直後に、乗務員までもが一気にマスクを取り始め、早速スイスでの「新しい生活様式」の様子を感じることができました。スイスに着いてからも屋外はおろか電車内でもマスクをしている人をみかけることはまれで、マスクしていると逆に目立つため私も2年ぶりにマスクなしの生活をしています(最近は電車内だけはつけるようにしています)。
先月から私は正式にスイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)の博士課程学生として、ロボット研究を始めた。この記事では、ロボット作って動かしていく上で大切にしたいことや、守りたい原則をまとめていきたい。これから様々な枠組みの中で研究を進めるうちに、ここに書いたことが現実的でなかったり、綺麗事でしかないことを痛感することになるかもしれないが、その際に初心を振り返ることもできるよう、文章に起こしておこうと思う。
データ管理といえばハードディスクに定期的にバックアップすることが勧められている時代がありました。しかし今は令和時代。データの保存先は、手元でくるくる回る磁気ディスクなんかではなく、ナウでヤングなクラウド環境にどんどん移行しつつあります。 最近になって自分のデータをどう管理しているか改めて見直していっていたのですが、気がついたらかなりクラウドに依存しており、しかもその方がずっと便利ということがわかりました。 この記事では、スイスで博士課程を始めた自分が、公私に渡りどのようにデータを保存しバックアップをとっているか、ライフハック的な話も交えつつ、まとめておきます。どちらかというと自分用の覚え書きとして書き始めたものなので、あまり参考にならない情報も多いかもしれません。
私は先月東大大学院を卒業し、今年の7月から、スイスでロボットを研究するために博士課程に進学するのだが、修論を書くまでの作業でとても疲れてしまった。現在の「空白の期間」でいったんリセットして、うまく研究や仕事と付き合える方法を模索していこうと思う。
最近になって7年間使っていたMacBook Proを、Windows + Ubuntuでデュアルブートする目的でDELL XPS 13に買い換えました。 パソコンの使用目的もウェブブラウジング、プログラミング、文書作成(主にlatex)なのでmacOSから移行しても特に困ることはないかと思っていたのですが、ほぼ唯一惜しいのが、macOSのPreviewアプリのような万能閲覧・編集ソフトがないことです。この一つのソフトで写真でもPDFでもそこそこ編集できるということのありがたさに初めて気が付きました。 そこで、Previewの主な機能を代替してくれる無料ソフトを、WindowsとUbuntuで探してみました。OSS開発者に感謝です。
前回の記事ではWindows PCにVPNサーバーを立てるところまでやりました。今回は、様々なクライアントからそれに接続する方法と、セットアップや管理のための技を説明します。 長いので分割しましたが、続き物の後編なので前編を読んでない方はそこを読んでから(特に、注意事項を読んでから)でお願いします。
色々試行錯誤した結果、他の記事に書かれているようなポート解放やWindowsファイヤウォールの設定変更をしなくてもiPhoneからでも接続できるVPNサーバーが構築できるようになったのでその記録を残します。(2024追記:以下に書くように、新居からはこの方法だとVPN接続が不安定になってしまったので、私は現在はポート開放する通常の方法でVPNサーバーを運用しています。)
この記事を読む方は既にVPN通信をしたい目的が明らかだと思うのでVPNの仕組みや特徴については特に触れません。主な利用目的としては以下があると思います。
※この記事は、こちらのYouTube動画として公開されている、2019年10月31日のDobot User Conference 2019で招待講演した内容の草稿バージョンであり、情報はすべて当時のものです。
調理ロボットで注目を集めるConnected Roboticsの「ソフトクリームロボット」。ネット上やメーカーフェアなどでご覧になった方も多いと思います。今回の講演では、去年から開発しているこのロボットがどのように生まれたのか、Dobotを使うことにどのようなメリットがあったのかなど、開発の裏側を紹介させていただきます。
ソフトクリームを自動で巻いてくれるコネクテッドロボティクスのソフトクリームロボットシステム。最近は設置店舗も増えてきて、ニュース記事などで目にする機会も増えました。私は現在はもう開発に関わっていないのですが、2018年からインターンとして初期バージョンの開発に関わった縁もあり、自分が関わったロボットが色々な場所で使われて、多くの人を喜ばせていることをとても嬉しく思っています。
昨年11月から、私はスイスに留学している。今日でちょうど2ヶ月経つ。チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)への訪問研究だ。自分でも、よく来れたな、といまだに思う。出発地の成田空港ではほとんどの店は閉まっていて、飛行機の乗客は十人程度だった。空港から下宿先へ向かうUberは、牛が放牧されている牧場を突っ切ってぐんぐん丘を登っていった。自分は海外経験は豊富な方だが、あまりに異様な状況下での海外留学に際してはじめは不安がかなり大きかった。 最初の数日は、生きるために必死のような状況で、調理器具や食材を揃えたり、入居の手続きをしたりと留学どころではなかった。
最近はめっぽう在宅での作業が多い。このままだと、少なくとも夏まではこんな状態だろう。 まずは自分の健康を守ることを大前提としたその上で、家での作業効率を上げていく必要がある。 椅子を変えたら良くなった、とか毎朝面倒でもちゃんと着替えて髭を剃るようにする、とか色々書けることはあるが、そのようなアドバイスはもっと的確なものが既にあふれていると思うので、ここでは作業効率が上がる(気がする)音楽を紹介していこうと思う。
まずはこちらの作品の動画を見てみてください。骸骨のような風貌の人形が布を被り、不安そうに顔を覗かせます。この動画を初めて見たとき、私は動きの自然さに衝撃を受けました。顔の傾け方、布を身体の前に持っていくときの姿勢など、あらゆる所作に「人間っぽさ」を感じます。
新海誠監督の最新作『天気の子』を観たのですが、本筋とは特に関係ないものの、作品に描かれている地方と東京の関係が気になるところがありました。前作の「君の名は。」と比べながら考察してみます。
大学4年生の後半、2018年の8月から2019年の1月にかけて、私は東大工学部とMIT(マサチューセッツ工科大学)の交換留学プログラムに参加していました。 この交換留学は今年で3年目のプログラムで、今回は計5人が東大から派遣されました。 向こうではMITの学部生と同じ寮に住み、同じ授業を受けることができました。 MITでの様子についてざっとまとめておきます。
MITへの留学中、Engineering Systems Designという授業を受けていました。 海洋上で、電離層の観測装置(Ionosonde)を搭載した無人船(IonosondeとRobotの造語で、Ionobotという呼称がついています)を、13人の学生(学部生11人、院生2人)のチームで設計しました。 これを活用すれば、船舶のGPSの精度を向上できることが期待されています。 他にも、電離層での電波の反射を活用したラジオ通信やレーダーの性能を向上させることもできます。 その授業で大人数のチームで一つの設計を作り上げる上で、体験したこと、思ったことについて書きました。
アメリカの就活とは、どのような仕組みなのでしょうか? 日本の就活といえば、黒スーツに身を固めて、インターンシップ(本来のインターンシップとは異なる、超短期の実質的な説明会のようなものが多いですが)、説明会、エントリーシート、数々の面接を経て内定、という流れがあります。マイナビ・リクナビなどで統一的にエントリーを管理でき、経団連が日程を決めるので、どの企業にしてもだいたい似通ったプロセスでしょう。(私自身は就職はまだあと少なくとも3年は先なのであまり詳しくは知りませんが…)
MITのDistributed Robotics Laboratory(分散ロボット研究所)では、様々な斬新なロボットを作り出して研究しています。 上の写真にも映っている、こちらの変てこな形をしたスタータ・センターが、MITのCSAIL(「シーセイル」と発音、コンピューター科学&人工知能ラボ)の拠点ですが、その中の一つの研究グループとして活動しています。 私はこの研究室で一学期間、研究インターンをしていました。 DRLで、どのようなロボットが作られているのか紹介していきます。
普通「ロボット」というと、硬い部品で構成され、モーターで関節を動かすような機械を想像すると思います。それの対となる概念として、ソフトロボットがあります。 従来のかたいロボットと、ソフトロボットを対比しながら、私がMITで行った研究について紹介します。
私は一昨年の夏ヨーロッパ(時差7時間)に行き、去年から今年にかけてはアメリカ東海岸(時差10時間)に留学に行ってましたが、どちらの行き帰りとも、時差ボケになること全くなく過ごすことができました。 実際、昨日の夜ボストン→東京に帰国して、普通にその夜に寝て今朝まで寝てて、今日一日眠くなることなく過ごせています。 周りからもよく驚かれるので、こちらに自分なりの対策法を書いてみました。 最近流行りの有料noteに格好なネタかもしれませんが、普通に無料でぜんぶ公開しますよ。いや、大した文章量ないですが。
2年ほど前、この古い写真に出会いました。 すごくニューヨークっぽい写真ですね。 建物の外壁に取り付けられた無骨な鉄の非常階段に、マンハッタンらしさがにじみ出ています。 奥には鉄骨の橋がそびえ立っています。 道をよく見ると、フォードのモデルTっぽい車が走っていますが、その奥では馬もまだ使われています。 電灯もありますね。 新旧の文化や技術が混ざった様子を記録した、とても気に入っている写真です。 先日、友達とニューヨーク旅行に行った時、これが撮られた場所を是非訪れたいと思いました。
学生は、みんな自分の活動や専門分野を紹介するウェブサイトを持つべきだと思っています。最初からしっかりしたウェブサイトでなくてもいいと思いますが、
今年の2月〜8月にかけて、調理ロボットのスタートアップ企業コネクテッドロボティクスでインターンシップをしていました。先月、会社のWantedlyのページに載せるための記事の執筆を依頼されたのですが、私がインターンとしてしていた仕事をまとめたレポートとしてちょうど良いと思い、インターンシップ中の経験などについてがっつりまとめてみました。許可を得た上で、こちらのブログにも再掲します。
今学期取っている授業の中で、最も「白熱教室」で放送されそうな雰囲気なのが、2.723 Engineering Innovation and Designだ。 マイケル・サンデル先生よろしく、100近くの生徒と絶えず言葉を交わしながら、新しい視点でモノを見せてくれる。 とにかく、講師のカリスマ性、人を惹きつける力がすごい。
地球上には、アポロ計画から遺された本物の月着陸船が3つだけあります。 「本物」というのは、実際に宇宙で機能する能力を持つ、本物の宇宙船という意味です。 先月私は、それら全ての月着陸船を見学し終えることができました。 それらの月面着陸船の物語と、私がそれらを見学することになった経緯を交えながら、私のブログの最初の記事を書こうと思います。
2022年5月21日記:この文章は、2015年の3月に東大の理一に合格した1週間後くらいに、当時通っていた塾のSEG(科学的教育グループ)に提出する合格体験記として執筆したものです。